
ナツミ
@nanana_ooo0
1900年1月1日
炎上する君
西加奈子
西加奈子作品の中でも上位で好きな短編集。たびたび読み返したくなるような中毒性がある。西加奈子ワールドが炸裂している大好きな作品。
・太陽の上
・空を待つ
・甘い果実
・トロフィーワイフ
・私のお尻
・舟の街
・ある風船の落下
全8編収録。どれもそれぞれの良さがあって1番とかは決められないけれど、わたしは「空を待つ」が1番好きかもしれない。作家の主人公はある日、空の待ち受け画面の携帯電話を拾う。社会から隔絶されたような気持ちの主人公はその携帯電話の持ち主のふりをして「あっちゃん」とやりとりを続ける…。
主人公が感じている孤独感や苦しさにわたしは自分を重ねてしまった。ひとりきりで作品を作っているとき、こんな気持ちになることがあるからだ。だけど「あっちゃん」はいつ何時でもすぐに返信をくれ私を励ましてくれた。誰にでも言えるような鼻白んでしまうような綺麗事と言われるような言葉だったのかもしれないけど、私はそれが嬉しかった。たとえ誰でもいえるような綺麗事であっても嬉しいときは嬉しい。そのような言葉こそほしいときがあると思う。
そして、空の描写が何よりもきれい。
たびたびこれを読み返すと、心がすーっと軽くなる。

