
潮満希
@chosekido_m
2025年3月9日

古本屋で出逢った本
何度でも読みたい
実際に手元にあるのは、文庫版ではなく、単行本版の全八巻。
物語はプロローグやエピローグを含めて百篇の話から構成されており、これらは勿論、短編である以上、それぞれの話単体として楽しむこともできるが、実質的には連作短編にあたる。
物語は赤、橙、黄、緑、青、藍、菫という七つの色に分けられており、それぞれの場所にⅠからⅩⅣまでの数字が振られている。これは、色を数字通りに追いかけていけば、ある年代、及び、ある世代の「私」の物語として成立し、同じ数字の物語を色ごとに追いかけていけば、ある登場人物や事物を関連づけて読み解くことができる仕組みとなっている。
個人としては、赤と橙の主人公である「私」の物語が好きであり、特に橙色の物語は青春ならではの色鮮やかさ、交流、苦しみなどが丁寧に描かれ、その世界へとのめり込む形で浸ってしまう。橙色の物語に登場する秋山という登場人物が、これまた憎めない先輩であり、慕わしい。
是非とも、これからも大切に読み続けていきたい物語。