
RIYO BOOKS
@riyo_books
2025年12月13日

読み終わった
母親が幼い子供の聞きわけなさを不憫がり、或いは𠮟り、時にはまた何も判らぬ子供を抱きしめて泣きだすばかりでなく、母子心中を想う場合があるように、女は自分の味覚の聞きわけなさに手古摺らされているうちに、男が網格子の外で鶏の股肉を貪るところに見とれさせ、平げ終えて手に残った骨を関節のところでちぎって、続けさまに投げ込んでくれて、床に落ちる音をふと聞いたように感じることがあった。もし、本当にそれに与ることができる保証があるならば、寝巻の上に何かを羽織っただけの身なりで、深夜に野次馬たちが詰めかけ消火の水が流れているアスファルトの道路を素足で拉致されて行ってもいいと、女は想う。

