
一世
@seedo81
2025年3月9日

人はなぜ物を愛するのか
アーロン・アフーヴィア,
田沢恭子
読了。消費者行動や「物への愛着」研究の第一人者、アーロン・アフーヴィア教授による、「なぜ人は物に愛着を持つのか?」を深掘りする一冊。人が物に対して抱く愛着の心理的メカニズムを探り、なぜ私たちは特定の物に強い思い入れを持つのかを科学的に解明されています。
人が物にハマるのは「擬人化(車を相棒と呼ぶ、ぬいぐるみに話しかける)」と「社会的結びつき(ファンが同じグッズを持つ、恋人とお揃いのアクセサリー)」にあるというのが主となる著者の主張で、そこは大変納得するものでした。
また、企業がいかにしてこの心理メカニズムを利用し、私たちの消費行動に影響を与えているのか という点も興味深いものでした。たしかに「ブランドのキャラ化」「ストーリーを用いた感情への訴えかけ」「パーソナライズ(自分好みへの改造)」されたアイテムへの愛着は強くなるというのは事実だと思います。
本書は単なる消費行動の分析ではなく、私たちが「何を大切にするのか」「どのように物と関係を築くのか」を振り返る契機 を与えてくれる一冊です。物への愛情が個人、家族、周囲の人と広がっていくことが「人と人を繋ぐこと:人の愛が繋がること」という結末はやや思考の飛躍があるようにも思えますが、著者の強い主張として心に残りました。
● 人はなぜ物を愛するのか:「お気に入り」を生み出す心の仕組み(アーロン・アフーヴィア、2024年、白揚社)