
えむ子
@hks_emk
2025年12月15日
霊応ゲーム
パトリック・レドモンド,
広瀬順弘
読み終わった
温かい紅茶と美味しいケーキでもてなされたと思ったらなんだか不穏な音楽が流れ始め、突然背後から頭をかち割られたような読了感(伝わらない)
フォロワーさんからお勧めされた作品。
お人好しで気が弱いジョナサンと、一匹狼で孤高の存在のリチャードが友人になるところから始まる青春物語。冒頭200ページ辺りまでは萌えすら感じる内容。
ジョナサンとリチャードが互いに特別になっていく流れは美しく、映像で見たいと思ってしまった。
強いリチャードのようになりたいと願うジョナサンの気持ちは14歳らしくて愛らしい。ジョナサンを虐める人間からリチャードが守る図は爽快感もある。
けれど、物語が進むごとに少しずつ奇妙な違和感を孕んでいき、最終的に、ジョナサンとリチャードと関わった人間は全て、本当に全て、彼ら二人も含めて日常を壊していくのが恐ろしかった。
何よりも悲しかったのは、病的な執着を見せたリチャードが、その実ジョナサンを見ていなかったこと。誰が悪かったのか、と聞かれたら全員に要因はある。誰も善人じゃない。だけど本当に彼らのせいなのかと考えると、そんなことはないようにも思えてやるせない。
リチャードの部屋で二人穏やかに寝転んで話していたあの時間が、どうして永遠に続かなかったんだろう。答えは明白だけれど、それでも考えずにはいられない。
たった一度の気まぐれな優しさを何故リチャードがジョナサンに与えたのか。純粋な善意だったのか、初めから無意識にジョナサンを選んでいたのか。リチャードの「きみに手出しするやつはだれだって、このぼくが殺してやるからな」という痛烈な台詞が辛い。リチャードは両親の間に本当は何が起きたのかなんてどうでもよくて、ただ、母を苦しめるもの全部から守りたかったんだよなあ。でもできなくて、適切なケアも受けられず、隔世遺伝で受け継いだ仄暗い欲望に侵蝕されてしまう。悲しい。
リチャードとジョナサンの友情に途中までウッキウキで読んでたので、財布を落としたときくらい落ち込んでる。「精神状態の良いときに」と先に言ってもらってて良かった。じゃなきゃ大の大人が泣いてた。
でも、本当に良い作品だった。単行本発売から15年後に文庫版が発売されたという作品だけあって、強く愛される理由が初読で分かる素晴らしい物語だった。
うう…リチャードもジョナサンも幸せになれや…(ならない)


