
読書日和
@miou-books
2025年12月23日

小泉八雲日本の面影
池田雅之
読み終わった
小泉八雲が来日してから亡くなるまでの14年間で、13〜14冊もの作品を残している中で、
著者・池田雅之氏が「最もエキサイティングで面白い」と評するのが、第一作『日本の面影』。
桜がほころび始めた春、
八雲は日本と決定的な出会いを果たす。
八雲の神道理解の根っこには、
古代ギリシアの多神教的世界観や、ケルトのアニミズム的な感覚があった。
さらに、キリスト教の教義(ドグマ)から自由であったことが、
自然信仰である神道への深い共鳴を可能にしたのだという。
なるほど、だからこそ八雲は、
「信仰」を説明するのではなく、
空気や気配として感じ取っていくような文章を書くのだと腑に落ちた。
本書で紹介されているなかでも特に印象的だったのが、
松江の旅館・富田屋で迎えた朝を描いた「神々の首都」の一節。
120年前の日本、日本人、そして松江の一日の始まりから終わりまでを、
八雲は「目」ではなく「耳」で描いていく。
実際には見ていないはずの光景が、
音や気配として立ち上がり、ありありと目に浮かび、体に響いてくる。
怪談作家としての八雲ではなく、
日本という土地の〈聴き手〉としての八雲。
『日本の面影』が、今なお瑞々しく読める理由が、少しわかった気がした。
