
中原メロス
@56565656t
2025年12月25日

青ひげ
カート・ヴォネガット,
浅倉久志
読み終わった
語り手は第二次世界大戦で片目を失ったもと画家、ラボー・カラベキアン。オスマン・トルコの大虐殺から逃れてアメリカへ移ったアルメニア人を両親に持つ。(…そもそも、アルメニア人の虐殺を本書で初めて知りました。勉強になりました、ありがとうヴォネガットさん)
本作のヒロイン(?)、イエス・キリストよろしくラボーを生き返らせるサーシ・バーマンがすっごい好きだった。ユーモアがあって自分の力で成功を掴みとる強い女性は、やっぱりカッコいいな。
「どうせ、なにがあっても、人間は過去をくりかえす運命。それが生きていることの意味よ。十になるまでそれに気づかない子供は、よほどのまぬけ。」
「文学というのはだな、ラボー、その分子どもに関係した出来事についての部内報にすぎん。"思考"という病気を持った少数の分子をべつにすると、この宇宙のなんにとってもまったく重要性のないものだ」
「地雷を踏んづけてしまった。(中略)あんな手の込んだ装置を設計して地面に埋めたりするのは、男性だけよ。(中略)女はまるっきり役立たずで、想像力がないのよね、ちがう?女の考えることといえば、土の中になにか美しいものか、食べられるものの種を植えることぐらい。」
「どうにもならないんだ、ぼくの魂は、ぼくの肉体がわるいことをしているのを知ってるし、それを恥じている。だが、ぼくの肉体は、しゃにむに、わるいこと、ばかなことをやりつづける」
「だから、自分の好きな人びとがなにかひどいことをやらかすと、ぼくは彼らを脂肉剥ぎして、許すことにしてる」
「さあ、こんどは女性の番だ」
世界恐慌、第二次世界大戦、人種差別と虐殺、その後も続く戦争と、度重なる友人の自殺。
それを経験してもなお、人間への愛が伝わってくる、そんなヴォネガットさんの作品が好きです。

