本屋lighthouse "「キャンセル・カルチャー」パ..." 2025年12月29日

「キャンセル・カルチャー」パニック
「キャンセル・カルチャー」パニック
アドリアン・ダウプ,
藤崎剛人
「キャンセルカルチャー」の事例として紹介・報道されるものの多くはキャンセルされた側の証言のみで構成されており、批判した者を筆頭に各種の周辺人物(中立的な存在も含めて)の証言は出てこないことが多い。つまり可能な限り事実に即した歴史を残そうというよりも、キャンセルされた側にとっての「物語」を作るという意識が強い。つまりそれらは文学作品であり、実際に「大学教授がキャンセルされた」というエピソードを含むアメリカ文学がいくつもあるとのこと。これを「完全な捏造」と言い切ることはできない。しかしそれでも、誇張や多少の嘘を含んだこれら「物語」を「事実」として主張することもできないはずだが、その「物語性=各種の複雑さを取り除くことで理解しやすくなった単純なストーリー」ゆえに受け取り手は「本当にあったこと」として認識していくことになる。 かつて清風堂書店の面屋さんが百田尚樹の『日本国記』に「歴史改ざんファンタジー」というPOPをつけて販売するという抵抗を試みたことを思い出す。あれは正しい抵抗だったが、『日本国記』として物語化された時点で勝ち目のないものだったのかもしれないうえに、実際にはキャンセル=店頭から排除されていないのに、おそらく後世には「キャンセル」の事例として引き合いにだされる「物語」の素材になるのだろう。
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キャンセルカルチャーの事例集は何度も同じ話が繰り返され、新規性はない。しかしだからこそ好まれる、というようなくだり。必ず同じ展開だから安心して読める。いまの出版業界との類似性がある気がする。p.266〜
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