橘海月 "さよならの儀式" 2024年7月7日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2024年7月7日
さよならの儀式
さよならの儀式
宮部みゆき
ノンジャンルの八つの物語。個人的に年単位で宮部みゆきは長編しか読んでいなかった分『返事はいらない』『とり残されて』を読んだ大昔が懐かしく思い出された。ぐいぐい引き込まれる筆力と引出しの多さはさすが。 「母の法律」通称マザー法により被虐待児は記憶を消す処置を受け資格を取得した義父母に養育される。義父母と兄姉と幸せな日々を過ごしていた二葉は、咲子ママの死により再び施設の生活となる。そこに「実の母に会って」と言う人が現れ…。これが1番好き。 「戦闘員」八十歳過ぎの老人藤川の判で押したような生活が、ある日突然変化する。毎日の散歩で覚えた違和感、マンションの駐輪場に設置された防犯カメラに生き物としての意思を感じ…。少年を助けたい決意と「私はボケ始めているのか」の自問自答の対比がすごくいい。3番。 「わたしとワタシ」思いもよらぬタイムスリップもの。四十五歳の私が休日、空家の実家に訪れると、十五歳のワタシがタイムスリップしていて…。未来に唾吐く思春期と、俯瞰で過去の自分を見つめる年配の構図が新鮮。私も断然わたし派だ。6番 「さよならの儀式」一般家庭向けロボットが普及し、壊れたロボットは回収され次が支給される時代。古いロボット、ハーマンが廃棄処理場にくる。窓口担当の俺はロボットを人間のように慕う若い娘にイライラするが…。彼こそロボットかと思うも結末が切ない。2番 「星に願いを」 妹の春美を迎えに行く秋乃。忙しい母の代わりに10歳離れた妹の世話を担う彼女が、早退を良く思わない高校と小学校の先生にダメージを受ける様が辛い。宇宙からの精神生命体、自身の怪物を客観的に見れた秋乃の行動に希望が。4番 「聖痕」調査事務所を営む主人公の元へ、息子が12年前の少年犯罪加害者だと言う男性が現れる。別れた妻と内縁の夫に虐待され二人を殺害した彼は、ネットで黒き救世主と祭り上げられていた…。5番 「海神の裔」元となった「屍者の帝国」を未読で今一つよくわからず世界観に入り込めなかった。昔話のような雰囲気は「人魚」を彷彿とさせる。8番 「保安官の明日」恩田陸の某作品が頭に浮かぶ。ザ・タウンにやって来た新人チコを迎える保安官。田舎のこの街は人手不足で、すぐに仕事にとりかかるが…。途中からじわじわと押し寄せる違和感と、やっぱりなの結末、そして…。ネタバレ無しでは感想も言いにくい7番
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