"ぼくが狼だった頃: さかさま..." 1900年1月1日

咲
@mare_fecunditatis
1900年1月1日
ぼくが狼だった頃: さかさま童話史 (文春文庫 て 1-2)
「特にしつけのやかましい家庭に育った訳でもないのに、私は大人になったら「名作童話に復讐してやりたい」と思っていた。ピノキオがポルノだったり、はだかの王さまが形而上学者だったり、赤ずきんがニンフォマニアックだったりする、という事実を「実話雑誌」風に暴露し、それらが「大人にとって都合のいい子供にしつけるための教材にすぎない」と言いたかったのだ」 星の王子さま然り、寺山修司には「復讐してやりたい物語」がいっぱいあるのだな、と可笑しい。 物語への最大の復讐とは何か? それは、物語を「書き直してしまうこと」なのだ。 「事実を事実としてだけ受け入れていても、あっというまに月日は流れる。風車を巨人に見立てる位の想像力でもなければおもしろくもおかしくもない」 新しい歌をおぼえてみる、ちょっと風変わりなドレスを着てみる、気に入った男の子とキスをしてみる。 世界と出会い直すこと、世界を物語化することの尽きない魅力を、寺山修司が何度も教え直してくれる。 天井桟敷で観客たちや市民をスポットライトの下に引っ張り上げたように、読書においてさえ、この人は、決して読者を受取手に留めてくれず、穴埋め問題や続きの公募によって関与を強いてくれるのだ。
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