
トム
@yukiyuki7
2026年1月2日

読み終わった
ホラー
この小説は、ホラー小説のネタを探す取材者が、九州にある一家惨殺事件の現場(廃墟)を訪れ、関係者である鷹村翔太にインタビューしながら進む。
物語はふつうの小説というより、音声の文字起こし、犯人の手記、取材メモなどの「資料」を読む形式で、モキュメンタリーっぽく作られている。
犯人は宍戸篤。最初は「こいつが全部悪い」と感じる。
でも読み進めると、篤がそうなるまでの家庭環境がひどく、同情できる部分もある。
父は会社社長だが借金を抱え、家族に暴力を振るう。
家は丁字路の突き当たりに建てられていて、風水的に良くない場所らしい。
さらに、呪いを鎮めるための石敢當を父が撤去してしまい、家に「黒い何か」が出入りするようになる。篤はそれが父の中に入るのを見た、と語っている。
家の中では、父の暴力で母は気絶するほど痛めつけられ、姉も篤も殴られる。
篤の手記を読むと、篤は満足な教育を受けていないのか、もともと知能が低いのか、判断力が弱く、状況を整理したり冷静に考えたりするのが苦手な人物に見える。
ある日、父は首吊り自殺する。
しかし宗教にハマっていた母は「父の魂をつなぎ止める」と言って、父の遺体を放置する。
遺体が腐って溶けるまで、そのまま家に置かれる。
篤は姉のことが大好きで、姉との間に子どもを作る。
これについて篤も姉も知識がなかったんだろうか……。
その子は母によって養子に出されてしまう。
篤が姉とヤッたことを母に隠していたせいで、母が「完璧な家族の上で必要がない」と判断したんだろうと思う。
姉はだんだん壊れていき、ついに母を惨殺して自殺する。
篤は帰宅して二人の遺体を見つけるが、母の考え方の影響もあって、魂が戻ると思い込み、遺体と一緒に1か月暮らす。
その後、逮捕されて入院する。
退院して家に戻ると、そこには別の家族が住んでいる。
でも篤にとっては「自分の家」なので、母と姉の死をなぞるように、その家族を惨殺し、遺体と2週間過ごす。
また逮捕・入院し、再び戻った篤は、最後はその家で自殺したようだ。
その遺体を発見したのが、冒頭でインタビューされていた当事者(=鷹村翔太)だった。
全体としてかなり残酷で、資料形式でリアルっぽく見せている。
ただ、私はリアルさが足りないと感じたし、終わり方もはっきりせずモヤモヤした。
母の宗教も意味不明で、篤や姉も判断が幼く、読んでいてイライラする場面が多い。
結局この物語は、誰も救われず、誰も幸せにならないまま終わる話だった。