鳥澤光 "剃刀日記" 2026年1月3日

鳥澤光
鳥澤光
@hikari413
2026年1月3日
剃刀日記
剃刀日記
石川桂郎
作家に対してうすぼんやり冬のイメージを持っていたけど、この短篇集ではお正月や大晦日の話も多くてあながち間違ってはいなかったもよう。『妻の温泉』とは発表年や描かれる時期も違うのだけど、こちらは短篇の終わり方の尋常ならざる旨さにニマニマしながら読んだ。人の内外の景色の描写も絶妙で、仮想の空間のようにも読める(時代の隔たりもあってか)場所の眺め方も気持ちがいい。 《おおどかな裡にもどこか淋しさのある牡丹の花》「秋の花」P71 という文から「おおどか」という言葉を知った。知らない人の優しい顔が浮かんでくるようないい響き。 《母が私にそっと握らしたのは空色の切符でした。》「堤防」P62 《山葵でなしに生姜と小指半分ほどの葱をそえて、きのう入った船から上げたばかりだというその鰹の身は、恰度夕陽をうけた深海の彩をしています。》「堤防」P63
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