
とりけらもち
@torikera_mochi
2024年5月24日
残機1
梅津瑞樹
読み終わった
カミシモで出会い、出版区のYouTubeを見て、言葉選びが独特でありつつも素敵だなという印象から、どんな文章を書くのかが気になって購入。舞台俳優オタクの一端であり、文学を紛いなりにも学んでいる者としては、俳優さんが自分の言葉で思いを綴ってくれる事に喜びを感じます。 人気商売、需要がなくなったら終わりみたいな安定しにくい職業に対して、自分には余裕も勇気も技術もなくて到底できないからこその憧れと尊敬がある。でも逆に不安定な危うさによる魅力に惹かれている部分もあると思う。こんな邪な見方をしている自分が嫌です。
「欲望に忠実である、更に言えば、感じたことが表に出ているように見えるという謂わば、ある種無防備な状態を意識的に晒す勇気が僕にはない。何故なら、そうした状態で己から表出したものが、誰の心にも届かず、見て見ぬ振りをされて流れていくのが堪らなく恐ろしいからだ。」(飢えている)
「時折、堪らなく自分が空っぽなように思う夜がある。どうしようもなく己の生き方が空虚で、頼りなく感ぜられ、次第に自責の念と焦燥感にかられたまらなくなり、ならばいっそこと霧散してこの世界に溶けて消えてしまいたいと思う。そのままゆらゆらと漂いながら「私」なんてしち面倒臭いものを忘れて、何処かへやってしまってくれと思う。」(27の夜)
「今を変えられるだけの可能性は過去という幻想の中にあり、そうであってくれれば見通しのきかない今とこれからを諦観という眼差しで眺め、束の間、贋物の安らぎにぬくぬくと浸ることが出来るというものである。」(魔の季節)
「では、何に隷従しているかというと、言わずとも知れている。己が人生、人生という幻想の自意識。この令和の日本において何者かへと隷属するとしたら、それは己において他はない。己を正しく飼い慣らせなければ、逆に飼われてしまうのは私だ。」「かつて奴隷の哲学者エピクテトスも言った。曰く、意志の力でどうにもならない物事は悩まないことだ。」(夏の奴隷解放宣言)