DN/HP "狂人日記" 2026年1月5日

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2026年1月5日
狂人日記
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色川武大
日記の書き手が少年時代にハマっていた、掌を力士に見立てたところから始まり、カードと五つのサイコロを使うように進化したオリジナルの相撲ゲーム。それぞれの力士の個性と勝敗は勿論、次第に入場者数や金銭の流れに引退後に至まで、その「社会」を隅々まで想像していく様にロバート・クーヴァーの『ユニヴァーサル野球協会』を思い出した。 こちらでは相撲に止まらず野球にも手を出し「どういうわけか」映画の撮影所も加わることになり、更に自分でも「恐れていたことに」それらを観に行く無数の市民のカードも制作されてしまう。神がサイコロを振る、完全に偶然に支配された「世界」の創造である。凄まじい。 そのゲームに書き手は「もうとっくに煩瑣に耐えられなくなっていたし、倦きたし、馬鹿馬鹿しくもなっているところがあった。それ以上に、すべてを動かすとなると実行不可能だった。ところがそれがやめる理由にならないのである。現実というものが、そもそも煩瑣で、退屈で、阿呆らしくて、どうにもならないもののように思える。自分が生きている以上この遊びもやめられない。」のである。少年が思いがけず覚ってしまう現実の人生の、困難と苦しみと哀しみ。 『ユニヴァーサル野球協会』も苦しく哀しいけれど、凄い小説だった、と思い出してまた読みたくなってきた。今は白水Uブックスに入ってるけど、単行本のカバーが最高なんだよな。今度みつけたら入手したい。
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