
紫嶋
@09sjm
2026年1月5日

読み終わった
借りてきた
一言で言うならば、非常に評価に悩む本である。
この本は、イギリスの書誌学者ウィリアム・ブレイズによる『書物の敵』を、庄司氏が日本語訳した上で適宜加除補正したものとなる。
1880年に初版が出版されたブレイズの『書物の敵』を、50年後の1930年という極めて早い段階で訳し、日本国内で読める形にしたという点は評価に値する。
それから長らく、日本語で読める『書物の敵』といえば庄司氏のこの本のみであったという点も、一定の価値と認めることはできよう。
しかし、上記の通りこの本は純粋な和訳ではなく、「適宜加除補正」がなされているという点に注意が必要である。
そしてまた、この「適宜加除補正」の仕方がとにかく酷い。
ブレイズが書いた元の文章の和訳が続いていたかと思うと、シームレスに庄司氏の主観混じりの補足や主張が挟み込まれたり、ブレイズが記した文章を端折り、代わりに日本における事例を書き加えたりと、やりたい放題だ。
そのせいで、一体どこからどこまでが真にブレイズが記した『書物の敵』の内容なのか、一見しただけでは分からなくなってしまっている。
加除補正を行なった理由として庄司氏は、50年の歳月が経過して現状からズレが生じていたり不足があったりすることを挙げているが、せめて純粋な和訳を載せた後、各章末に補足として私見なり自論なりを載せればよかったのに……と思わずにいられない。
こうした、ともすれば編者の驕りともとれる改変のせいで、結果としてこの本自体の価値も薄れてしまっている。
幸いなことに、現代では八坂書房から出版された完全かつ純粋な日本語訳の『書物の敵』が存在している。
ブレイズの『書物の敵』に興味を持った人は、ぜひそちらをお読みいただきたい。