食べ物に関する話が多めで、幼い頃の鴎外との想い出と晩年の茉莉がひとり暮らしを超エンジョイしている話とが半々くらいの割合で読めておもしろかった 室生犀星と森茉莉の有名なエピソードで、晩年の茉莉のアパルトマン(茉莉はそう呼んでいる)を訪ねた犀星が、そのあまりに侘しい住まいを見て茉莉のことが心配なあまりその日の夜寝れなかったという話があるけど、犀星の人柄を偲ばせる一方で、晩年の森茉莉の文章を読む限りではお金がないなりにやりくりしてファッションもインテリアも日々のごはんも茉莉本人の美学に基づいてとても楽しんでいるのがわかる文章なので、その心配は…杞憂だぜ！ていまは思う(犀星には犀星なりの人情があるのはわかる)