
みっつー
@32CH_books
2026年1月8日
殺人都市川崎
浦賀和宏
読み終わった
浦賀和宏さんの『殺人都市川崎』を読んだ。
神奈川県川崎市といえばまず初めに「治安が悪い」というイメージを抱くと思うけれど、浦賀さんが描く川崎も甚だエグいものである。
まず伝説の殺人鬼がいる。
あまりにも低所得で、職も人間関係もすべてを川崎で完結せざるを得ないという暗黙の了解がある。
高層マンションが立ち並ぶ武蔵小杉に住む人間が「川崎に行く」と言えば「お前は我が一族の恥だ」くらいのことを言われる。
ここでカミングアウトすると僕の地元は川崎である。
おいおいおい…怖すぎるだろ川崎。
おれが知らないだけでこんな場所だったのか川崎。
物語は、殺人鬼がいるという場所にやってきた主人公とその彼女がマジで殺人鬼に出くわして、彼女を鉈でぶっ殺されるところから始まる。
ちなみに主人公は素行不良が目立つ生意気な(卒業して間もない)中学3年生なのだけれど、主人公を補導して警察に通報しようとした区役所の職員も彼女が殺される直前に殺されている。
読み始め20数ページで人が2人死ぬ。
それは流石にあんまりじゃないか、川崎。
ここで、このあとの主人公の川崎に対する結論を見てほしい。
俺は目の前で二人も人が殺されるのを目撃した。映画とは違う。ゲームでも、漫画でもない。現実の人間の死は、あまりにも悲惨で痛々しく、生臭い血に溢れていた。俺は思い知った。これが川崎なんだと。
『殺人都市川崎』p.90
「これが川崎なんだと。」
じゃねぇよ、怖ぇよ川崎。
おれが知っている川崎じゃないよ。
表しか見えてなかったのか?おれは。
ラゾーナと、TOHOシネマズと、チネチッタしか行かないムービーキッズはお呼びじゃないのか?川崎よ。おれはまだお前という場所の一員になれてなかったのか?なぁ川崎よ。
ブラザーだと思っていた川崎にまさかこんな形で裏切られるなんて思ってもいなかった。
しかし安心して欲しい。
なぜならこの後もたくさん人が死ぬからである。
たくさん死ぬならいっか♪となる人はいないと思うけれども、その違和感を持ち続けることで、この小説はグッと楽しくなってくる。
素行不良マイルドヤンキー主人公とは別に、日本のド底辺である川崎から抜け出し、武蔵小杉という名の超高層マンションが立ち並ぶブルジョワな地域で暮らす少女も別の視点の主人公として描かれる。
この少女は素行不良マイルドヤンキー主人公(略して、マイヤン)の元カノであり、新聞を読み先述した殺人事件について知ることとなる。
親の都合で武蔵小杉に引っ越して来ただけなので、まだマイヤンに対しての未練があり、川崎に様子を見に行きたいという気持ちに駆られる。
しかし、親はやっとの思いでド底辺シティ川崎から抜け出せたので実の娘に対して全力のブチ切れである。
川崎のやつが嫌われ過ぎて不憫である。
おれの地元である。
そこに母親のお目付役としてやってきた“いとこ”が湧いて出てきて、そのいとこが20年前に起こった“後藤家殺人事件”について一緒に調べたいと言ってきやがる。その例の“事件”の犯人というのが最初に主人公たちを襲った殺人鬼である。
そしてなんやかんやあって、元カノといとこクンは共にその事件を明らかにするために動き始めるのであった…。
殺人鬼の圧倒的な恐怖感であったり、スプラッタな殺人描写、そして主人公のプライドの高さが垣間見えるイキり具合、主人公の元担任に高鳴る俺の鼓動。
それぞれ要素がページをめくる手を加速させ、そして最後にはとびっきりのサプライズが用意されている。
その真実はどうぞご自身の目で確かめてください。
最後にちゃんと言っておくと、川崎は普通にいいところである。
カツアゲは一回だけされたことあります。
とてもいいところです。