
はに
@828282chan
2026年1月9日
眠れる美女
川端康成
買った
読み終わった
表題作の『眠れる美女』を読み終えた。
この作品は知人から教えてもらったのだけど、そのときに聞いたあらすじが「薬で眠らされた少女に、キモおぢがあれやこれやする話で……」という感じだったので、ニチャァとした嫌なキモさがありそうでイヤだなと、食わず嫌いならぬ読まず嫌いをしてしまっていた。主人公が老人男性という、自分とはかけ離れた属性であるところも、感情移入ができなさそうで食指が動かないポイントだった。
ところが。
先日、チャットAIに「小川洋子が好きなんだけど、他の作家でおすすめを教えて」と聞いてみたところ、ドンピシャでこの作品を推薦された。それならば……と、読んでみることにした。
読んでみれば、予想に反して、やわらかく美しい文章に魅了された。上品で官能的な描写。全編通して嫌なキモさというのを全く感じなかった、描かれている行為そのものはだいぶキモいのに。さすが、文豪と呼ばれる人の作品だ。(川端康成の作品をまともに読むのが初めてだったので、新鮮に「こんな作風なのか」と驚いた。)
主人公の老人男性に感情移入できるかしら?という心配も杞憂だった。老いや死への不安、愛情の渇望、欲望と罪悪感、郷愁の想い、そういった人間として普遍の感情が丁寧に描かれていて、心に響いた。
眠らされて受け身一方の少女に対する眼差しはエロティシズムにあふれている。特にこのシーンは私の嗜好的にグッときた。
“娘は眉をひそめて顔をよけると脣を開いた。舌が下あごにつき、小さく沈むようにちぢまっている。その幼なじみた舌のまんなかに可愛い窪みがとおっている。江口老人は誘惑を感じた。娘のあいた口をのぞいていた。もし娘の首をしめたら、この小さい舌はけいれんするだろうか。”(p.62)
そしてラスト。
そんな終わり方なんだ……!
夢中で読んでしまった。
川端康成の他の作品も読んでみたくなった。