
はに
@828282chan
2025年9月30日

エロティシズム
澁澤龍彦
読み終わった
ニッチな性的嗜好を持っていると、世間一般的に性行為と呼ばれるものとは全く関係がないような行為を(むっちゃくちゃえろいな)と感じる場面がある。どうしてこんなものにグッときてしまうのか、自分でも理由がわからないことも多い。この本では、古今東西のエロティシズムについて、哲学者や心理学者、作家などの多様な論が紹介されており、その“グッとくる”心情を紐解くヒントが見つかる本だった。
そもそもエロティシズムとは、実用主義的な活動(いわゆる生殖活動)、つまり先に述べた“世間一般的な性行為”とは対立するものであるらしい。
「エロティシズムは、あらゆる実用主義的な活動(生殖や子供への配慮をふくめた、あらゆる社会的活動)に対立するものであって、ただそれ自体を目的とする狂気の欲望なのだ。だから、エロティシズムは悦楽、熱狂、錯乱、狂気などへ高まる宿命を持っており、祭とか、饗宴とか、遊びとか、戦争とか、犯罪とか、あるいはまた芸術とか、宗教とかの方向を目ざすのである。(p.13)」
私が特に興味を惹かれたのは、禁忌に対する侵犯や、死とエロティシズムの関係性を論じているバタイユの思想。私自身の性的嗜好に“刺さる”ものを感じた。今度、バタイユの著書である『エロティシズム』も読んでみようと思う。
あと印象に残ったのは、“受け身一方の処女がいちばんエロい”という話。澁澤龍彦の処女に対する語りの熱量があまりにも高くて、正直、ちょっとキモいなと思ってしまった。ただ、言っていることには共感できてしまうので、私もキモい側だわ、と少し自己嫌悪した。
「エロティシズムの論理が、到達不可能なものをたえず求めるとすれば、わたしたちの肉欲の視線にすすんで応えようとしない処女こそ、最もエロティックな存在であることは自明であろう。みずから語らぬ存在、受身一方の存在こそ、いちばん客体に近い存在であり、したがって、いちばんエロティックなのだ。(p.86)」
全体的に男尊女卑的な語りも多かったけれど、出版された時代が時代だし、文庫化のあとがきで作者もその点は反省(?)していたし、広く浅くのエロティシズム教養本としてとても楽しく読めた。
表示の絵もカワイイ。