
kasu.
@11uyksm
2026年1月10日

読み終わった
借りてきた
単行本
食と日常に関するエッセイ。
日常が綴られているだけのエッセイだけど、ほっこり出来たり、時にはほろりと泣けたり。
だけどそれだけじゃなくて、宮下さんの繊細さだったり、丁寧な暮らしだったり、感性が覗けて、綺麗な物語をかけるのも納得。だし、読み手にも気付きを与えてくれる1冊だった。
・・・〜北海道のトムラウシに1年間移住したり、本屋大賞を受賞したり……。さまざまな変化があった6年半の月日を、「食」をとおして温かく描き出す。
ふっと笑えて、ちょっと泣けて、最後にはおなかが空く。やさしく背中を押してくれるエッセイ78編に、書き下ろし短編1編を収録。〜・・・
【アップルクーヘン】
「林檎とバターのいい匂いがする」夫がうれしそうにいった。焼きたてを切り分けてふたりで食べた。素朴で、温かくて、涙が出るほどおいしかった。(P.16)
🍎息子さんが産まれて、1日がどこで始まってどこで終わるのかすらわからなくなるくらい疲弊しているのに、スキマ時間でお菓子を焼く宮下さん。『涙が出るほどおいしかった。』に、慣れない育児の疲労や、夫が子を連れ出してくれてようやく自分時間を作れたことへの安堵が混ざっている気がしてほっこり。
【クリスマスの夜】
ママはもう一生分のプレゼントをもらっちゃったんだよとむすめを抱きしめた。プレゼントは今、にこにこ笑って目の前にいる。(P.23)
🎄ママへのクリスマスのプレゼントもサンタさんに頼んでおいたよ、と手紙に書いていた娘。翌朝のやりとりに幸せなクリスマスの雰囲気が残っていて心が温かくなった。
【フムス】
宮下家のおせちに入れるというフムス。(P.26〜28)
🍱初めて聞いた食べ物だけど美味しそうで、我が家も挑戦してみようと思った。
【栗ご飯】
そんなこともあるんだと驚いたお話。(P.31)
🌰悲しいはずなのに、なぜかほっこりする。
【大きな鍋】
大きな圧力鍋で材料を煮込んでから、中くらいの鍋に取り分けて、スパイスや辛さを控えたカレーをつくる。成長するにつれて子供たちの食べる量が増え、中鍋に取り分けるのは大人の分になった。(P.33~34)
🍛宮下さんみたいな丁寧な暮らしに憧れるけど、私の性格ではきっと無理。子供用と大人用の2種類のカレーを手作りで用意するのも尊敬。(我が家の子供用はアンパンマンのレトルトカレーが定番😓)
【失敗ごはん】
笑われたことのない人は脆い。失敗したことのない人は危ない。一度失敗したことは、繰り返さない。同じところではつまずかなくなる。(省略)恥ずかしかったり、悔しかったり、そういう体験が人を強くする。そして、その打たれ強さこそが、人を遠くまで歩かせてくれるのだと私は思う。(P.45)
😢良い母ちゃんすぎる。私もこんな対応ができる母親になりたい。人としても親としても尊敬できる宮下奈都さん。神。
【お正月のカレー】
「子供たちのことは、とにかく食べさせることさえ考えてあげればいいんです。それ以外は、自分の体調を優先させてください。」(省略)ほんとうに体調の悪いときに、子供のごはんをつくれるだろうか。(省略)うつ病だと診断されても、人に食べさせることが義務付けられている母親業とは、なんと重い任務だろうか。「とにかく食べさせること」、その裁量は母親に任されている。(P.52)
🧑🍳うつ病と診断された友人と主治医の先生の言葉。それを聞いて自分だったら…?と考える宮下さん。母親業のリアルな悩みすぎて刺さるお話だった。
【虎のバター】
ちびくろさんぼのお話。(P.95)
🧈このお話が出てくるとどうしても柚木麻子さんの「Butter」を思い出してしまう。
🐯次男くんのピュアさにクスリと出来て、ほっこりなお話だった。
【キャンプの朝】
「コーヒーってこれからのための飲みものって感じがする。紅茶はどちらかというと振り返るための飲みものなんじゃないかなぁ」(P.115)
☕️私もコーヒーはもう少し頑張りたい時や一日を頑張りたい時の午前中に飲むことが多い。紅茶はゆっくり過ごしたい時。なので、なんかわかるなぁと共感。
🏕️このお話は中学生の息子さんたちの『コーヒー体験』でもあり、幼い頃は苦さに顔を顰めていたけど、寒い山のキャンプで飲んだ朝コーヒーを「美味しかった」と答えた。息子さんたちの成長がみれたような気がして自分の子さながらのもどかしい様な気持ちが味わえた。(P.117)
【トースト】
各自でやればいいのにとは思わない。ひとりひとりのリクエストに応えながら、この朝のにぎやかなひとときがどれほど貴重で楽しいことかと思う。この子たちも(省略)自分でトーストを準備する日が来るのか。まだしばらくは誰も巣立たない子供たちの未来を想像して、胸がいっぱいになったりするのだ。(P.138)
🍞朝の忙しい時間に家族からのバラバラな注文にもしっかり応えてあげる宮下家のママ。こんなママのいる家なら早起きして朝ご飯が食べたくなるだろうし、家族との時間もご飯の時間も楽しめる環境を自然と作り出せているのに感心。まだ手のかかる子供たちの将来を見据えて暮らしているのもまた尊敬。そんな幸せな時間がずっと続いていてほしいと読み手にも思わせるお話だった。
【公園のホットワイン】
一杯のホットワインの温かさに涙が出て初めて、私は自分がつくづく疲れていたのだと知った。(P.173)
🍷冬の寒い日でも幼い子供をベビーカーに乗せてブランケットをたくさんかけて公園へ連れて行くのが良い母親の務めだと思っていたと語る宮下さん。いつまでも砂場で遊んで帰ろうとしない息子さんに付き合っていたものの、急にむなしくなってベンチへ。その時に遭遇したおじさんから分けてもらったホットワインに癒されたお話。あまり細かくマイナスなことが書いてある訳ではないのに、初めての育児への疲れや他人との関わり合いを遮断された生活へのストレスがこのお話を通じてひしひしと伝わった。
【おついたち】
毎日、学校から帰ってくる子供を迎えて、「おかえり」と声をかけるとき、胸は弾む。よく帰ってきたね。今日も一日元気でがんばれたね。(省略)外では楽しいことばかりじゃないだろう。辛い目にだって遭うだろう。それでも、家に帰ってくる。うまくいかなくても、悲しいことがあっても、なんとか乗り切って帰ってきたことをよろこびたい。(省略)あたりまえに来ると思っていた日を迎えることが、あたりまえではなかったのだと知ったから。会えなくなった人のことを思う。会える人のことも思う。会おう。会えることをよろこぼう。(P.183)
🗓️このエッセイの中で一番と言っても良いくらい好きなお話。毎月1日を祝う母を疑問に思っていた宮下さん。大人になって、子供が産まれて、自分が母親になってようやく「おついたち」の意味がわかる。この習慣を知らなかったので最初は宮下さんと同じ気持ちだったけど、このお話の締めを読んだら激しく同意。本当に“当たり前ではない”んだなってこの歳になってようやくわかった。娘が毎日元気に幼稚園から帰ってきてくれる。それも当たり前ではない。「元気に帰ってきてくれてありがとう」なんだなと気付かされた。




