
Books八景
@bookshakkei
2026年1月10日

ゆっくり歩く
小川公代
読み終わった
著者はこれまで文学作品より「ケアとは何か」を読み解いてきた英文学者の小川公代さん。
小川さんが病をえた母にむけ、「ケアの実践」に取りくみ、思索した一冊だ。
「ケア」と口で言うのはたやすいが、健康な人が病を患う人の身体のままならなさや弱る気持ちに寄り添いながら、当人に最適なケアを提供することはむずかしい。小川さんもお母さんとときに言い合いになったり、じれったい気持ちを抱いてしまう。
それでも小川さんは、これまで触れてきた文学作品や自身の家族のエピソードから、「ケアの実践」のヒントをさぐりだす。母娘3人のアメリカ留学生活、英語塾を経営していたエネルギッシュな父、戦後一代で不動産業を築いた祖母の物語はどれもユニークだ。ケアというのは、人から人へと巡っていくものなのだと感じる。
「ケアの実践」において「こうすればみんな解決!」という答えはない。「寄り添う」ことを模索しているすべての人に、手にとってもらいたい。