無重力くらげ "荊の城<下>" 2026年1月11日

荊の城<下>
荊の城<下>
サラ・ウォーターズ,
中村有希
スリのスーザンは顔馴染みの詐欺師に誘われてある儲け話にのる。郊外の孤立したブライア城に住むモードという令嬢と結婚して、財産をそっくりいただいてしまおうという計画だ。スーザンは彼女の侍女となり、詐欺師との結婚を後押しする役につく。モードはおつむの弱い女であり、結婚した後は精神病院に入れてしまおうという算段だった。ロンドンの下町から離れたことのないスーザンは不安を抱きながらも、大好きな育ての母親を喜ばせるためブライア城へ向かう。 私のベスト10に入るくらいおもしろかった! GL(百合)要素のある作品と知ってそれを目当てで読み始めたけど、さすがダガー賞を受賞・ブッカー賞最終候補作なだけあって、抜群におもしろいミステリー小説だった。次々明らかにされる真実に、また最初から読み直したくなる。19世紀のヴィクトリア朝時代のイギリスが舞台で、当時の風俗が鮮明に描写されている。そういった点でもおもしろく読めた。 お目当てのGLもよかった。作品全体の雰囲気はけっこう暗くてつらいんだけど、2人が徐々に引かれていく心の動きの描写は繊細でつい感情移入をしてしまった。2人のすれ違う思いにはヤキモキさせられた。調べたら作者のサラ・ウォーターズはレズビアンだとか。なるほどねー。 サラ・ウォーターズの作品をもっと読みたいけど、『半身』以外はちょっと入手しづらそう......。中古品を探すしかないかも。
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