
読書日和
@miou-books
2026年1月12日
山怪 青 山人が語る不思議な話
田中康弘
読み終わった
山怪シリーズ10年目にして、ついに最終巻。テントや山小屋の怪談に毎回びくびくしながらも、単なる「怖い話」にとどまらず、民俗学的な興味をかき立ててくれるところが魅力で、このシリーズを読み続けてきた。
本書も、山に生きてきたマタギの方々や、地元の山をよく知る人たちから直接聞き取った体験談が、誠実な筆致で綴られている。昔の日本の暮らしや文化、山との付き合い方が自然に伝わり、とても学びの多い一冊だった。一方で、そうした知恵や営みを必要とする人が少なくなり、受け継ぐ人も減っている現実に、寂しさや不安も感じさせられる。
表紙の狸のイラストはかわいいのに、「狸の化かし方は命に関わるが、狐はそうではない」という記述など、新しい発見が多いのも印象的だった。病を癒すマッカ爺や、山の神に守られている人の話など、不思議でどこか温かい物語が心に残る。
最終巻となってしまったのが本当に残念。まだまだこの世界を読み続けていたかったと思わせてくれる締めくくりだった。