
白川みどり
@midorishi_
2024年7月18日

たまたま生まれてフィメール
小川たまか
かつて読んだ
軽やかな語り口、けれど書かれているのは理不尽で絶望的な社会問題。そして著者の切実な怒り。
"なんにもこだわりがないかのように笑っていたいか。それともいちいち声を上げて怒るのか。多くの人が前者でいたいと思うだろう。前者のほうが優れて賢く見えてしまうから。けれどー。"
私は20代、というかつい最近まで、この文章でいう前者だった。Twitterを眺めながら、なんかみんなずっと怒ってんなぁとさえ思っていたし、まるで他人事のように、社会で起きていることを知ろうともしていなかった。今、この本を読んで、私は確かに怒っている。差別をしない。他者を尊重する。そのことが、どうしてこんなにも叶わないのか。無くならない性犯罪や、繰り返される政治家たちの差別発言を知るたびに、どうしてだよ!と思う。前者でいる方が、楽に生きられるのかもしれない。けれどそうすれば私は、きっとまた誰かを傷付けてしまう。私はもう、前者でいたいとは思わない。なかったことにしたくない。
