
ユメ
@yumeticmode
2026年1月8日

読み終わった
感想
以下、ネタバレを含む感想です。
シリーズ完結巻。あらすじに「まさかの裏切り」という文言が入っていたので、いったい誰がどんな形で——とハラハラしながら読み進めた。かつての結の裏切りが今なお五鈴屋主従の心に影を落としているというのに、このうえまだ幸に試練が与えられるのか、と心苦しくもあった。いざ裏切りの全容が露見した際には私も幸や菊栄もろとも奈落に突き落とされたような心地がしたが、さすが髙田郁さんと言うべきか、一筋縄ではいかない、更なる驚きの展開が待ち受けている。結のことを考えるとなんとも複雑な気分になるが、音羽屋忠兵衛が報いを受けたこと、惣次が五鈴屋を害そうとしたわけではなかったことはよかった。
源流から始まったこの『あきない世傳 金と銀』の物語が大海に辿りつくとき、そこにはいったいどんな景色が広がっているのだろうと思っていたが、同じ浅草田原町で商いをする店々と手を取り合うという幸の知恵に、またしても感嘆させられた。揃いの王子茶の暖簾がはためく光景が、しみじみと胸を打つ。遅くなってしまったが、シリーズを最後まで見届けられて本当によかった。特別巻を読むのも楽しみだ。
