
cookingalone
@cookingalone
2026年1月17日
通天閣 決定版 下巻
酒井隆史
読み終わった
大阪で1年しか暮らしていない者がいうのだから、あまり当てにならないのだろうが、あれほど筋が整然と並んでいるかのように見えて、大阪の通りは、見通しが悪い。色々なものが雑然と同居している。
この本について。
見通しの悪い本である。もちろん、貶しているわけではなく、大阪の街を歩いている感覚に近い。ともかく、1つの路地を抜けると、思ってもみなかった場所に繋がり、新たな光景が目に入る。読んでいると、そんな感覚がある。
何の本かと問われれば、大阪のミナミの錯綜する地層を錯綜するままに描き出した社会史ということになるのかもしれないが、叙述は屈折に屈折を重ね、行きつ戻りつしながら、通天閣の周りを彷徨する。通天閣を見上げながら、見通しの悪い路地から路地に、見通しの悪さを武器にしながら、筆者は歩き続ける。オビにある「奇書」と「傑作」という相入れないはずの煽り文句に嘘はない。