
氷うさぎ
@yomiyomi
2026年1月18日
システム理論入門
ディルク・ベッカー,
ニクラス・ルーマン
読んでる
「均衡の隠喩法は、一七世紀には「貿易の均衡(balance of trade)」という考え方のなかですでに自明のものとして用いられ、一七世紀末頃には特にヨーロッパにおける諸国家(ないし政治的要因)の国際的均衡という考え方の発達も促し、それを越えて一般的でかなり無限定な用法につながっていきます。
…
均衡は安定的であり、攪乱に対しては、元の均衡を回復させるか新しい均衡状態に到達するようなかたちで反応するだけだ、と考えられています。
…
すでに一七世紀に指摘されていたことですが、もっとよく見てみると、この考え方はあやしくなってきます。
…
ここで現実を考慮に入れるなら、つまり数学の関数だけを念頭におくのではなく、たとえば経済システムや生産システムのような現実のシステムがいかにして安定的でいられるかを考えるなら、そもそも均衡を安定状態として語ることができるのか、という疑問も差しはさむことができます。
ここからまったく反対に不均衡が安定条件になりうることはないのか、という考察が出てきます。それによれば、経済システムが安定的でありうるのは、商品を過剰に生産することによって、市場で需要が生まれれば必ず何かを提供できるようにする場合、あるいは反対に、購買者を過剰に作り出し、商品を過少に生産することによって、十分な商品があればその商品を買うような購買者がつねにいるようにする場合だけです。
…
しかし均衡モデルは、五〇年代においては新しい発見ではなく、必要とあれば依拠することのできる変種の一つに過ぎませんでした。新しかったのは別の二つの問題圏で、そちらの方が均衡理論よりも、その後のシステム理論の発展に強い影響を与えるようになりました。特に新しかったのは、熱力学から出てきた問いでした。」p. 47