ユメ "幾世の鈴 あきない世傳 金と..." 2026年1月11日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2026年1月11日
幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下)
以下、ネタバレを含む感想です。 最近、老いについて考えることが増えた。30代になった自分の肉体も精神も、確実に20代の頃とは変化している。そしてその変化は、今後も止まることはないだろう。そう思うと、時に悲観的になることもあるし、そうでなくとも、自分がどう歳を重ねてゆくべきなのかということについては惑うことばかりだ。 そんな折、信頼できる書き手の綴る物語の登場人物たちが時にもがきながらも人生を先へ進んでゆく様を見せてもらえると、心の拠り所を見つけたような気持ちになる。シリーズ開幕時はまだ少女だった幸がいつのまにか私の年齢を追い越して、本作では還暦を迎えていることに驚きもあるが、やはり彼女たちの人生模様を長く見守らせてもらえることは幸せに思う。 寄り添って生きることは前途多難な道でもあると言われていた幸と賢輔が睦まじく暮らしているのには胸が温まったし、二人がいくつになっても商いに対して知恵をこらして、五鈴屋の暖簾を次の百年へと受け継いでゆこうとする姿に尊敬の念を新たにした。幸の心境を描いた「血縁が無くとも、ひとはひとを思いやれるし、そのひとのために幾らでも精進を重ねられる」という言葉に、胸を掴まれる。 上巻で自らの老いについて悩んでいたお竹が、92歳になってなお幸の右腕として健在であるのにも活力をもらった。
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