
プールに降る雨
@amewayamanai
2026年2月8日
パストラル
C・F・ラミュ,
笠間直穂子
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まだ読んでる
知人がよかったと言っていた。
おとぎ話のような短編集。厳しい自然のなかで生きる人。妖精がいる世界で生きる人。孤独な人。時代に取り残されゆく人。みずからの欠損を埋めるように他者を求める人の切実さ。注意深く読まないと取りこぼしてしまう文体。
“少年は、ナイフの先に、少女が渡したチーズを突き刺す。皮のところしかない。小石なみにカチカチだ。それでも、よい面を下に向ければ、ものになるかもしれない。そして彼が炎にかざした面は正解だった。チーズは柔らかくなって、じゅうじゅういいながら湯気を立てる。彼はひとかけのパンから薄く四枚切りとる。ひとり二枚だ。それから、ナイフでチーズをなすりつけるが、そのチーズは一面に細かな泡が浮いていて、触れた途端にはじける──すると、とろりとしたクリーム状のものになり、いいにおいがして、口にじわっと唾が湧く。二人は黙ってもぐもぐと噛む。”p.12「パストラル」
“その水はまだ水にならない水、石よりも硬い水、クリスタルガラスに似た水、つまりクリスタルガラスと同じほど透明で砕けやすい水なのだが、熱によって柔らかくなり、元の水に戻り、素直にしなやかになる。これを使おうと人々は思い、その居場所へと登っていった。”p.57「日照り」
