みっつー "明るい夜に、星を探して" 2026年1月23日

みっつー
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@32CH_books
2026年1月23日
明るい夜に、星を探して
北欧とは一体、どんな場所なのだろうか。 北欧について何も知らない僕が急な思い立ちで行ったところで、きっと、たくさんのムーミンに担がれて、サンタの村に置いてけぼりにされ、サンタたちに無理やりサウナに入れられると得体の知れないデカくてサワサワとした葉っぱで体をしばかれて、血行の流れが良くなったと感じてきた頃に目の前の湖に投げ込まれ、IKEA(湖の中店)に入店し、一人で組み立てることのできないクローゼットを買わされ、そのクローゼットでオブジェが作られ、なんか祀られて、何が入ってるかよく分からないパイを食べさせられて、そのまま食後の運動がてら踊りに誘われで身も心もミッドサマーする羽目になってしまうのではないだろうか。 僕の頭の中の怖い北欧を改めるために、今日も旅エッセイに心を委ねよう。 酒村ゆっけ、さんの『明るい夜に、星を探して』という本を読んだ。 僕はかわいい女の人が大好きなので、Instagramや YouTubeで何度か見ていた方の本ということでとても興味が湧いた。 かわいい女の人が旅行に行く時点でかわいいなぁ〜という邪な感情をラリアットで沈めながら「あくまでもお前は北欧を知るんだ」と釘を刺し、脳を文字の世界へとトリップさせていった。 ゆっけさんは酒日記なるジャンル(?)の動画をあげていて、お酒と食が盛りだくさんで、見ているこっちもヨダレが盛りだくさんになる動画がごちそうさまでありがながら、ご本人が読み上げるナレーションの文学的な表現と小気味のいいテンポ感がこれまたクセになる、そしてドン・キホーテのテーマソングみたいなやつのパターンの多さを知ることができる唯一無二のチャンネルなのである。 この本はそんな彼女がお酒に激しく酔い倒した夜に、無意識かつ勢いで購入してしまったフィンランド行きのチケットに導かれるまま一人旅を決行するトラベルエッセイである。 恐ろしいことに、まず本を開き始めて「はじめに」の部分でだいぶ心が削られる。 大人にならなくちゃ、社会的な居場所を持たなくちゃ、と奮闘するのに悉く上手くいかない描写になんとなく自分を重ねてしまう。いや、烏滸がましい話なのかも知れないけれど。 息巻いて何かを決意した時に限って、心を萎縮させる出来事や、言葉で足を掴んでくるような人間が現れたりするもので、他人のせいにしてはいけないなぁと思いつつも、自分が悪いと思えるほど大人じゃない自分に嫌気がさしたりすることもある。 そんな自暴自棄感を呼び覚まさせられながらページを捲っていくと、次第に、冬を帯びた初夏の空気が流れ始め、セブンイレブンや、缶ビール、ぷっくらと腫れ上がった口内炎が姿を現してきた。 あれ、セブンイレブン?口内炎? そう、この本は間違いなくトラベルエッセイなのだけれど、デンマークの部分ではこの口内炎にかなりの地獄を強いられることになる。 ゆっけさんはお酒と食べることが大好きなので、硬いパンの欠片が、熱いスープが、ソーセージの肉汁が、次から次へと口内炎を襲う。 気づけばゆっけさんと口内炎は旅のパートナーとなっており、時々喧嘩したり、仲直りしたり、「消えろ」と呪ったりする。 嫌だよねぇ、口内炎。 口内炎ってなんで一番楽しみたい時にできるんだろうねぇ。 その他にも旅の仲間が登場する。 ChatGPTの「チャッピー」である。 僕の中でのチャッピーはピクミンシリーズに登場する背中に草間彌生みたいな赤ドットを背負いながらその星の生命体であるピクミンを貪り食っている原生生物を思い浮かべるが、あくまでもこのチャッピーは人を食べたりはしない…嘘はつくけれど。 チャッピーに閉店しているお店を紹介されたり、口内炎に当たらない食べ方を適当に教えられたり、電車を間違えられたりと、振り回されながらも戦い続けるゆっけさんの姿が切実過ぎて笑ってしまう。 大変だ、大変そうすぎる(笑)という感じである。 その他にも本場のミッドサマー(夏至祭)に参加したり、ビール風呂に入りながらビールを飲んだり、お酒が飲めるトラムに乗ったり、マクドナルドを食べたりする。 そこはかとない孤独感に襲われながらも、一人旅を続けていくうちに、日本の都会に溢れ過ぎている空虚が満たされていくような充足感を得ていく描写が、とても羨ましく思えてくる。 初夏の北欧は“白夜”と呼ばれる「太陽が沈まない」季節がある。 昼も夜も明るく、昼と夜が溶け合って曖昧になり、日本の夜に向き合い、恋しくなり、思いを馳せる文章に、心を打たれた。 僕は、夜に活動を行なうというゆっけさんとは真逆で完全に朝方の生活習慣になってしまったのだけれど、かつて、夜のユースケ・サンタマリアに、夜の草彅剛に、夜の笑福亭鶴瓶に、救われてきたので、僕自身もいつか、明日が不安な誰かのためにゲーム実況という活動を続けていけたらいいな。 それが今、僕が探している明るい夜の星である。 ゆっけさんの本を読んでいたらお腹が空いてきた。 今日は卵かけご飯をあり得ないカロリーにして食べてみようかと思う。 お腹一杯にしたら、明日からまた頑張ろう。
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