
icue
@icue
2026年1月25日
原点 THE ORIGIN
安彦良和,
斉藤光政
読み終わった
読んでよかった。安彦さんは誠実な人だと思う。
全共闘世代であることは知っていたのだが、自身も逮捕歴があり、安田講堂攻防戦に居合わせていてもおかしくないほど運動に入り込んでいたのは知らなかった。一方で学生運動のシンボルであったヘルメットとタオルを忌避し、対話を放棄した画一的なアジよりも、平易な言葉で人々に話すことを心掛けるなど党派的な振る舞いからは距離を取っていた。その弘前時代が自身の創作活動の「原点」になっている、そういう背景を知ると、いわゆるファーストガンダムの見方にも新たな面が見えてくるようだ。
安彦氏からすれば、富野由悠季は60年安保と70年安保世代の中間の人で「政治の人」ではないのだと言うのが印象的だった。ざっくり60年代の若者という同じ世代のように思ってしまっていたが、6つ違いというのは結構な違いのようだ(考えてみれば当然で、富野氏は戦前生まれで安彦氏は戦後生まれ)。ファーストガンダムと「THE ORIGIN」の違いはあるいはそこからきているかもしれないと思うと興味深い。
ところで、本筋とは関係ないのだが、村上春樹はノーベル賞を取っておらず、正式に候補になっているかどうかさえ公表されていないのに「ノーベル賞候補作家として名高い」(P143)と紹介するのはどうなのか。坂本龍一は「アカデミー賞受賞作曲家」ではなく「いまや日本のトップミュージシャンとして君臨する」(P98)と紹介しているのだから、村上も同じでよかったのではないか。