
ピエ
@pie_202
2026年1月25日
薔薇の名前[完全版] 上
ウンベルト・エーコ,
河島思朗,
河島英昭
読み終わった
第三日まで、そして上巻を読了。
見習修道僧であるアドソが、異端に関して年配者たちに尋ねて回る一日。第一日に僧たちが異端について議論していた時にはよく分からずさらっと読み流したことが、アドソがしつこく質問してくれたことで理解できるようになった。常にアドソと同じくらいの理解度で読み進めることが、この小説を楽しむポイントなのではと思われたので、この日は彼と同じくらい真剣に読んだ。
アドソという少年(語り手としての現在は老人)の人となりも、だんだんに分かってきた。彼はいわばワトソン的な探偵助手のポジションなのだが、この立場の登場人物は探偵(師のウィリアム)より思慮が浅いために、読者を苛立たせやすい。しかしアドソの未熟さはまだ少年であるがゆえであり、かつ、老年となった今では反省や後悔も交えながら回想しているため、読者のヘイトを集めにくいのが巧いなと思った。
アドソは聖処女像の胸元の清らかな美しさを説かれて顔を赤らめてしまうような初な少年で、思わず微笑んでしまうような言動も多い。しかしその純粋さは、おそらくはそこそこ裕福な家の生まれであることにも由来しているなと、貧しい生まれの人との間に生じるギャップからも感じた。第三日は彼の危うさが露わになり、語り手の揺らぎは読者の感情をも不安定にさせるものだが、それでも物語は動いてゆき、アドソも我々もそれについてゆかねばならないという、第四日(下巻)へ引き込まれる感覚が面白い。

