
読書猫
@bookcat
2026年1月26日

43歳頂点論(新潮新書)
角幡唯介
読み終わった
(本文抜粋)
“思いつきというのは本人の意志を超えたものであり、制御不能である。それが真におのれの人生に根ざしたものであれば、思いついた瞬間に、その人は、その思いつきにより開かれた未来に否応なく運命を投じられてしまうのだ。
思いつきにみられるこうした意志と超越した状況を、私は<事態>と呼び、これこそ人生をうごかすダイナミズムだととらえた。過去の履歴と偶然のきっかけの化学反応がうみだす、そのときどきの事態にのみこまれることで、人生はあらぬ方向に進み、結果として各人はそれぞれ固有の生き方を歩むことになる。
人間とは何か。それはこのような思いつきをうみだす場である。”
“では偶然とは何か。
それは世界でその人のみに固有の出来事のことである。
言い方をかえれば、それは世界で私だけに帰属する出来事のことでもある。そのような固有の出来事がきっかけで人は何かをやろうと思いつくのである。
そしてこの偶然による思いつきというものは、何度か述べたが意志を超越した制御不能な力をもつ。”
“四十にもなると何者かになり惑わなくなる。これが中年の自由の正体だ。それまで行動を押しとどめていた様々なものからの解放。自由になった結果、二十代の頃のような自己存在証明のための行動は不必要となり、ギリギリとしたストイシズムからも解放される。
年齢を重ね、自分というものが固まってきて、自己存在証明が必要なくなると、何かに届こうとして頑張る必要がなくなる。
そのときはじめて、ただ面白いからそれをやる、という純粋行為の世界が広がる。”