"とんこつQ&A" 2026年1月27日

蛍
@bcgcco
2026年1月27日
とんこつQ&A
とんこつQ&A
今村夏子
また何を読まされているんだという今村ワールド。いやこれが読みたかった。 タイトルのとんこつQ&A、自分の居場所、存在意義を他人をコントロールしてまでつくり上げる主人公とそれを許容する店側の連中(ここも程よく狂っている)と、恐らく自己を破壊されてしまった第三者の登場人物、ずっとうっすら怖いのにどこか笑える。 不出来な自分を棚に上げて他者にやさしくできない主人公にメッセージ性を持たせてみたりしたが、そういうことじゃないんだよな。今村さんの話ってそういう次元にない物語でだからこそ読みたくなるんだよな。  「良夫婦」もよかった。主人公が自分は最低な人間だと分かっていながら生活を送るうちその意識が薄れ”普通の人間”であると錯覚してしまっていたという描写がある。あの感覚には既視感があって、過去の苦い思い出、自分が起こした浅はかな行為がじわじわと思い出される。今村さんの作品が好きな人は、私含め自身に残る蓋をしていたかった出来事が露わになるからではないか。 「冷たい大根の煮物」は、自炊のたのしさを教えてくれたことと1万円とは比べ物にならないけど、1万円という金額よりもやはりそういう人であったのかというショックの方が重要になったのかもしれない。人との関わりがほとんどないであろう主人公にそういった感情が芽生えたこと自体喜ばしいことではないか、救いのある話を最後に持ってきてくれて感謝。
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