Moonflower "世界の文学〈13〉ブロッホ ..." 2026年1月26日

世界の文学〈13〉ブロッホ (1977年) ウェルギリウスの死
第Ⅳ部 灝気-帰郷 【感想】 古代ローマ最高の詩人、ウェルギリウスが死に至るまでの約一日を描いた大作。 晦渋な文体による「意識の流れ」を異常なまでの執拗さで描ききる筆力といい、高次の詩学を(時の皇帝、アウグストゥスと!)戦わせる論理展開といい、そして何より玄妙を極める幻視の数々といい、すべてがあまりに破格。よく書き切ったなと感嘆するし、よく出版できたなと驚いたし、よく読みきったなとわれながら感心する。それだけ読むのが大変だった。 というか、かつては120ページくらいで挫折してしまったのだ。(それでもがんばったと思う) なので今回は第Ⅱ部を休日に一気に読んで、第Ⅲ部以降は少しずつ読み進めることにし、それが奏功したわけだ。 ただし、嫌々読んでいたわけではもちろんない。むしろ、どうしてこれほどまでに書くことができるのかと、ひたすら感嘆しながら読み進めていた。ウェルギリウスの詩学に感動したり、異様な幻視に腰を抜かしたりと、これこそ文学にしかなし得ない作品だと心底打ちのめされたのだったが、わたしの力量不足で吸収しきれなかった感はある。再読(通読)は難しいだろうけど、たびたび手にしてあちこち読み返してみたらその都度さらに発見がありそうだ。 何にせよ、ものすごい読書体験だった。必死に喰らいつくだけの価値は間違いなくある。(ただし、ある程度は歴史・文学・哲学の知識がないと厳しそう) それと、訳者の川村二郎の異能には脱帽する他ない。よく訳せたなとしか言いようがない……
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