
ユメ
@yumeticmode
2026年1月22日

さすらいの孤児ラスムス
アストリッド・リンドグレーン
読み終わった
感想
ヴェステルハーガ孤児の家を抜け出した少年ラスムスは、風来坊のオスカルと出会い、共に旅をするようになる。
ヴェステルハーガにいた頃のラスムスがいかに愛情というものに飢えていたのか、リンドグレーンのこまやかな筆致から切実に伝わってきて、胸が痛む。そんな彼が、陽気で歌と手風琴が上手く、自分のことを子どもだからと軽んじたりせず、それでいて大人としてきちんと庇護してくれるオスカルに出会ったら、それは慕わずにはいられないだろう。読者だって、オスカルのことを好きにならずにはいられないのだから(もちろん、ラスムスのことも)。
しかし、二人の旅路は、ピストル強盗事件に巻き込まれたことによって波瀾万丈なものとなる。数度にわたる犯人たちとの対峙は、いずれも息つかせぬ展開で、ハラハラドキドキしながら見守った。決して気が強い方ではないラスムスが、オスカルとの平穏な時間を守るために懸命に立ち向かう姿には胸が熱くなる。終盤、ラスムスがオスカルを追いかけていってからの大団円には、私も幸福な気持ちで満たされた。
旅路の途中の「夏の音」の描写が牧歌的な美しさを湛えていて、リンドグレーン作品の魅力をここでも感じた。

