
umi 🪿
@um_book_
2025年3月7日

鳥の物語
中勘助
かつて読んだ
“こんじきの大鳥みたいにゆさりゆさりとのしてた夏の雲が南風といっしょにひきあげたあとへ吹きかわった西風が広漠とした裾野をわたって、手だれの織り姫が高貴な織り物にいろいろの模様を織り出すように常磐木の色かえぬ緑の地にかの木この木をあるいは燃えたつ真紅に、目のさめる鬱金に、または渋い茶色にし、草原をば絢爛な秋の錦にかえた。気は凝って水晶と澄み、落葉のうえに霜が銀砂子をおく、またもや空を賑わして後から後へと雁がき、白鳥がき、鶴がきた。”
『鶯の話』より