
トロ
@tontrochan
2026年2月7日
方舟
夕木春央
読み終わった
読み終わりました。
いやぁあ、後味が悪いですね。。一人一人の一挙手一投足に目を凝らして頭で整理しながら読んではいましたが、倫理と合理性の関係を極限まで突き詰めたミステリだと感じました。読後の率直な印象は「やられた」というものでしたが、それは単なるトリックの意外性に対する驚きではなく、その発想の徹底ぶりに対する驚きでもあります。本作で提示される選択は、感情的には到底受け入れがたいものです。しかし、論理としては破綻がなく、筋が通っているようにも思えます。そのため、「最低だ」と感じる一方で、「理屈は通っている」とも思わされる。この感情と論理の分裂こそが、本作の冷たさであり強度なのではないでしょうか。
とりわけ印象に残ったのは、発想そのものよりも、それを実行できてしまう犯人の、ある意味では【意志の強さ】です。倫理よりも合理を優先し、迷いなく選択を貫く姿勢には恐ろしさを覚えました。読後には爽快感よりも、静かな戦慄が残る作品でした。こんなトリックを、即興で思いつくことなんて出来るんでしょうか。生き残る事しか考えてないと言えばみんなそうだよ、とはなるんですが、出来ちゃうんだ、それやるんだ…という気持ちがいつまでも付き纏っています。クローズド・サークル&タイムリミットがあるミステリには初めて触れましたが、なかなか新鮮で楽しめました。


