授受 "死の泉" 2026年3月7日

授受
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@mocca1104
2026年3月7日
死の泉
死の泉
皆川博子
初めて読む、皆川博子先生の長編。 いやもうすっっっっっごい本だった…。700ページ弱の長編、手にした時の仰々しさと裏腹に読む手がもう止まらない。 「あとがきにかえて」が本番なところがあるのでネタバレは避けたいけど、その中で触れられていた「本質を象徴させるべく」してつけられたタイトルがもう秀逸。 壁一枚隔てた先の地獄の存在を知りながら過ごす飢えも寒さも無縁の穏やかな日々は、多分、飼い殺しと言う方が正確なんだろうと思う。その主人が名前を書くことすら憚られるような人間であったとしても、それをどれだけ嫌悪したとしても、彼の傘の下でわが子と自分を守ることができる限り、きっと火の粉の中に飛び込む勇気は持てない。 戦争を経験した(そして戦後間もない時代を生きる人々の有り様をこれでもかと書いてきた)皆川先生だからこそ、罪悪感や葛藤、良心の呵責、それでも生きたいと思う気持ちの筆致が凄まじい。 この本、「善人」は居ないなあ、と思ったけど、この生きるか死ぬかの世界で喘ぐ登場人物たちを見ていると、善悪の境界すらあやふやになる。だから一部の登場人物に嫌悪感は湧いても、嫌悪することはできないのがな…。途中退場した彼女たちだって、生きるために死に物狂いだったわけだからね… 迷いのない者が生き残り、生き残った者にこそ語る権利があり、死んだ者は口を閉ざすだけ。 恐らく拾いきれてない伏線や意味が散りばめられてるし、読み進めるのに夢中で理解が全く及んでいないと思うので、また一息ついて読み直したい一冊。 いやでもすごい、本当にすごい、宮川先生… もっと彼女の長編も読みたいなあ。すごいなあ…… 好きな人物とかも語りたいけど、普通にネタバレになるので自重。 時間のある時追記で「好きだな」と思ったフレーズを書き残します。 語感や言葉選びが好きなだけなので、こっちはネタバレにはならないと思います。多分ね。
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