瀬野わたる "科学するブッダ 犀の角たち" 2026年2月10日

科学するブッダ 犀の角たち
うーむ、困った。 良いところは沢山ある。 パラダイムシフト=神の視点(人間が直感的に美しいと思える、ある意味単純な世界の有り様)を剥ぎ取る「人間化」により、科学は発展してきた、という指摘はとても興味深い。 何より、著者の専門である仏教についての解説が面白い。 ここまで「何でもアリ」になった経緯や、仏教が極めて科学的な宗教である、という本書のメインテーマも納得できる。 それでも、本書に対する違和感は消えない。 一つは、科学そのものや、お釈迦さまを「神格化」してることが、文章の端々から感じられることだ。 後書きで「この本はラブレター」と言い切っているだけのことはある。 でも、それこそ人間化しないといけないんじゃない? 僕が尊敬してやまない朝永振一郎先生は、物理学「自然をたわめた不自然な作りもの」と称した。 同じく僕が大好きなファインマンさんも「こんなもの(理論物理学)が現実なもんか。我々がでっち上げた世界じゃないか」と言った。 専門、というのはある意味「限界を知る」ということ(そうでないと、限界を広げられないから)。 だから、朝永先生もファインマンさんも、科学を絶対視していない。 僕は科学者もお釈迦様も好きだけど、アアメンドクセエと言いながらノーベル賞をとったり、死の病の女性を真剣に愛した後に色んな女に手を出したり、女はダメだ男もダメだと言いながら説法したり。 そういう不完全な部分があって、それを隠そうとしないところに、なんだかぐっとくるんだな。
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