イナガキカズトシ
@romantist721
2026年2月15日

腹鼓記(新潮文庫)
井上ひさし
読み終わった
めちゃくちゃ面白かった。鍼灸の先生が読んでてよくこんなに嘘をつけるものだと感心していたので、影響受けて読んだけど、なるほど、確かに良くもこれだけ嘘をつけるものだと言ったことが納得できる。狸や狐に関するありとあらゆるそれっぽい作り話が展開されてくわけだけど、ちゃんと起源や根拠がはっきりあるのでなんだか信用してしまう。聖徳太子とか宮本武蔵とか大石内蔵助は実は狸から人間になった奴らで、人間に文化を与えているのは狸であるという壮大な嘘。狸世界でのスポーツを詳しく説明してくれてると思ったらただただ野球のルールを狸の目線で説明してたり、狸の古典「腹鼓記」の文章も古事記らしく言葉が使われてたり、狸と狐の合戦時に加勢にきた魚類軍一々に適当な名前があると思いきや植物群にも鳥類にも名前がずらずらと並べられてたり。そういうどうでも良いところに筆が乗っているのが非常に好みだった。そして人間の愚かさよ。狸の日和見主義、どこか抜けた所のある滑稽な存在論に魅力を感じた。



