
読書日和
@miou-books
2026年2月16日

神秘列車
甘耀明,
白水紀子
読み終わった
三叉山事件を題材にした「真の人間になる」を読んで、すっかり甘耀明さんのファンになり、こちらも手に取った。
本書は短編集で、収録作の多くは
著者の故郷、台湾・苗栗県を舞台にしている。
表題作「神秘列車」は、
かつて政治犯として拘束された祖父が乗ったという
“謎の列車”を探すため、少年が旅に出る物語。
国民党による白色テロによって引き裂かれた
祖父と祖母の秘められた過去、
政治の暴力が家族にもたらした分断の記憶を、
少年の視点からさかのぼっていく。
読んでいると、光景が自然と目に浮かび、
まるで映画の世界に入り込んだようだった。
二作目の「伯公、妾を娶る」は、
背景を理解するのに正直かなり苦戦した。
神様が妾を娶る?
もともと祀られていた正妻の伯婆とは別の存在、
浮気性の伯公、大陸出身で言葉の通じない妾
(客家語、台湾語)。
はちゃめちゃで、最後まで完全には理解できていない。
この物語と「神秘列車」を近い時期に同じ作者が書いていることに、驚きを覚えた。
そして「葬儀でのお話」。
祖父母、母の死をきっかけによみがえる、郷土の村に生きた家族絆と、命のかがやき。
今回もまた、甘耀明さんの魅力に、
どっぷり浸かってしまった。




