うみ
@umi043576
2026年2月16日

夜あけのさよなら
田辺聖子
読み終わった
若い女子が同年代のダメ男子とお付き合いしていて,彼氏は本当にダメで,でも私は彼といると彼のことが本当に好きなんだなって思うの……みたいな話である。
けれど彼氏のダメなところも十分理解していて,この人と一緒にいて良いのだろうかというふんわりした不安を持ってもいる。だから会社の未婚の男性陣が誰それと良い感じだとかデートに行っただとか,そういう話題にもアンテナを張っている。そんな中で大人の男性に出会って海沿いの花畑のある別荘に誘われて,その素敵な洋館ごとその男性が欲しくなってしまうのである。
若い女子の移り気の多さ,複数の男性に自分を取り合って欲しいという我が儘さ,大人の男性のゆったりした立ち居振る舞いと素敵なものを所持できる財力にあっという間に惹かれてしまう未熟さ,そういうのが嫌みなく納得できるように書いてある。2020年代に読むとなんて傲慢で我が儘で考え足らずな女子なんだと思う人もいようが,初出が77年だからその時代の女子の価値観や社会規範を想像すれば主人公の思考や行動の理由はよく分かる。それが45年経った2020年代でもしっかり分かるように表現されているのがすごい。
あと「海辺の別荘を持つ年上の男性」ってモチーフ田辺聖子の他の小説でも合ったと思うんだけど(のりこ三部作?),田辺聖子はこのモチーフ好きなんだろうか。若い女の子が憧れる対象としてデザインされているのはよく分かる。
