活字畑でつかまえて "武器よさらば" 2026年2月19日

武器よさらば
武器よさらば
アーネスト・ヘミングウェイ,
大久保康雄
主人公と従軍牧師とのささやかな友情と会話がいい。 従軍牧師は宿舎では大尉や兵士たちにいじられ からかわる日々を送っている。 戦地で命がけの任務にあたる兵士にとっては そのような虐げる存在が必要だという残酷さ。 たしかに戦地の従軍牧師というのは肩身が狭く 無力な存在だ。 しかし牧師をからかう彼らとて戦闘兵ではなく衛生兵なのだ。 そして敵の砲弾で負傷し入院した主人公と 当直勤務のキャザリンの深夜の逢瀬。 戦争と恋。 おそらく主人公とキャザリンの会話は 村上春樹も影響を受けているのではないか。 それにしても坦々と語られていくヘミングウェイの筆致が心地良い。 銃殺直前の逃亡劇と、 バーテンダー、グッジョブ👍からの ボードでの逃避行もいいな。 手のひらがズル剥けになりながらオールを漕ぎ続けいざスペインへ。 キャザリンについていうと 主人公にとってあまりにも都合のいい存在になっているのは否めない。 キャザリンは主人公のすべてを受け入れる女性として描かれているが、それは本当に愛なのか? すべてを受け入れるのが「愛」というのは 美しいし分からないでもないが 都合の良さと紙一重というか 女性に母的なるもの娼婦的なるものを 投影しすぎではないか。 結局、キャザリンが身籠っていた赤子の後を追うように亡くなってしまう点も 物語の悲劇性より男の身勝手さを感じてしまう。 植えた種の責任放棄だ。 主人公はラスト 息を引き取ったキャザリンのそばにいるべきだろ う。クールにホテルへ引き返している場合ではな い。 キャザリンは 過酷な戦地で主人公が生み出した幻影なのではないだろうか。
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