
高卒派遣社員
@hidari_s
2026年2月22日
読み終わった
まず押さえておくべきなのは、本書が論じているのはリモートワークや在宅ワークではなく、あくまでも「ワーケーション」という仕事と遊びの境目が融解していく働き方のことである。だから「オフィス出社なし」からさらに進んで、どこでも仕事ができるのなら、自分にとって楽しく快適なエクスペリエンスに変えたいよね、という本音を掬い取る考え方と言えるだろう。
人類史を振り返ると狩猟採集型の時期の方が長いのだから、私たちにとってもワーケーション的な働き方は性に合っているのだ、という主張はわからなくもない。稲作定住は個人が要請したものではなく、為政者が民衆をら効率よく統治し、税を集めるために必要とされたシステムであることは容易に想像がつく。(もちろん安定した食糧供給は個人にも恩恵をもたらしてきたことに異存はない)
「移動することで創造性が高まり、それが年収にも…」と都合の良い話は存在しない。一方で出社先の所在地に縛られて生活圏が決まるのも、パンデミック以降は納得がいく働き方とは言い難い。その中で、どんなワークスタイルが選べるのか。本書はその選択肢を示していると言える。
読み終わっての第一印象は、ワーケーションは個人が選ぶというよりも、雇用主である企業が積極的に推奨しなければ普及はしないという点である。個人事業主ならまだしも、勤め人にとってこの働き方は雇用主や上司が許さない限り、仮にリモートワークであったとしてもハードルは高そうだ。
ワーケーションを取り入れた働き方に片足を突っ込んでいる立場からすると、「それは移動コスト・滞在コストを給与で賄えれば全部実現できるよね」という提言が多いと感じた。とはいえ企業がこのスタイルを取り入れた場合、従業員への評価を「マイルストーン管理」にシフトする必要があるとの提言は全く同意する。簡単に言えば、期限内に与えられたタスクが終わっていればそれでよし、という考え方である。
もちろんこうした働き方を勤め先が表立って推奨していない場合、正面から認めてもらうためにアプローチするのは難しいだろう。しかし時間をかけて少しずつ譲歩を引き出して、結果的にワーケーション的な働き化を実現できる可能性はある。まずは在宅ワークで勤怠をきちんと報告し、与えられたタスクをきちんとこなす。次のステップは私用による出先からの対応や途中退席を増やしていく。その先にバケーション先での勤務が朧げに見えてくる。
仕事の業種・業態によって働き方はさまざまだが、正規・非正規雇用の違いに関わらず、自分の望む働き方を目指す上でヒントのある一冊だった。
