Miyoshi "隠し女小春" 2026年2月23日

Miyoshi
Miyoshi
@miyoshi
2026年2月23日
隠し女小春
面白い。面白いんだけど、「ストーリーの面白さ」と「その小説がもつ価値観が自分の好みに合うか」がこんなにも分かれることがあるんだ、と思わされた本でもあった。 ラブドール「小春」を購入し、奇妙な共同生活を送る中年の校閲者・矢野聡。矢野に惚れて向かいのレオパレスから双眼鏡で覗く映画の字幕翻訳者・恭子。バーのママで矢野を好きだが身体の関係だけを持っていたいと思う千賀子。 幻想と現実の境界が揺らぐ感じや終盤のたたみかけるようなサスペンスは確かに面白いと思うのに、とにかく中年男性にとって都合の良い話ばかりで、げんなりする。 情愛、性愛、理想の役割にきっぱりと分かれた三人の女性が全員主人公に依存しているのが気持ち悪い。 映画やら美術館やら鉄道やら、小道具に対する蘊蓄が異常に長いのも気持ち悪い。特に曜変天目のくだりは、聞かれてもいないのに美術館で若い女性に蘊蓄を語り出す「教えてあげようおじさん」そのもので、見ていられなかった。痛々しい男性の描写として、ならまだわかるが、そうでもない。 おじさんにとって都合の良い女性たちがおもちゃのように最後の数ページであっけなく全員死んでいくのもきつかった。 私はこの著者を阿部正彦さんの本で紹介されていた『家族写真』で知り、他にも好きな作家が本書を推していたので読んでみたのだが、「なんであなたたちのようなおもしれー男が……」という気持ちになってしまった。まあこんな読書もある。
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