いもりあお
@aoi_0617
2026年2月27日

透明カメレオン (角川文庫)
道尾秀介
読み終わった
声が魅力的だけど見た目に自信がない、ラジオパーソナリティを務める主人公が、Bar「if」で出会った女の子に恋をする話
物語にはどの場面にも「嘘」が出てくる。相手を傷つけないためにつく嘘もあれば、自分を傷つけないための嘘も。
最近つくづく思うのは、大人になればなるほど、自分の内面を正直に表現するのは難しいということ。
長い付き合いの友人であっても、その時々で置かれている状況によって話題にしない話もあるし、自分の何でもない話を相手に合わせて多少脚色をつけて面白おかしくしてしまったりすることもある。
頑張って相手に合わせる必要もないが、相手のことを思って言っている言葉が本心のものでは無かったりすると、帰ってから後悔してしまう。
本当の自分とは何なのか、本音を出せない付き合いは自分に必要なのか。
この本に出てくる嘘は、不思議と罪悪感のようなものが無く、現実を受け止めるまでに必要な緩衝材のようなものに感じられた。
忘れたい過去の話を、結末を明るく変えてもらって、それをエンタメとして聞くことで心を浄化させるというのが斬新。
明るいラジオトークの裏側にある現実の話は悲しくて耳を塞ぎたくなるものもあるけれど、その当事者の人の心の治癒には必要な表現であり、物語の中では次に進むための指針となってくれている。