
あめ
@rain33
2025年3月22日
かつて読んだ
67歳のおばあちゃんがアパラチアントレイル(3000km以上あるヤバい縦走)を超軽装で、しかも3回もやってるという実在人物について書かれた本。
まあここから先は感想になるのだけど、
エマ・ゲイトウッドの幼少期やエマを殴る夫との結婚生活および11人の子供との生活の話、
エマが実際に歩いた山々での体験、
山々のネイティブアメリカンの伝承や開拓時代の歴史の話、
この3つが交互に織りなされることで、大きなひとつの物語として立ち現れてくる
『なぜエマは山を歩くのか』という疑問がこの物語のテーマになっていって、読み進むにつれてエマの悲惨な結婚生活、過酷ないつ諦めてもおかしくない登山の描写が出てきて、
そのうちアメリカ中のメディアがエマに注目するようになり、記者たちは『なぜ』をエマに問い追いかけるようになるんだけど、そしてエマ自身も率直にインタビューには答えるんだけど、
やはり読後感としては『分からない』んだよね、ドーナツ状になっているというか、その問いの周りを極限まで深掘りしているにも関わらず、それでよけいにドーナツの穴が際立ってくる
そして話はエマの死後に続き、エマの功績は讃えられ、
人はその『なぜ』の答えを得ようとして追体験を目的にアパラチアントレイルに挑もうとする
そしてそのこと自体がエマの新たな功績であるという話の構成になっている
これは蛇足だけど、
この最強おばあちゃんに対し、暴力と権力でしか繫ぎ止めるすべを知らなかった夫、
そりゃ夫の描写が出てくるたびに肝が冷えるんだけど、
なんか夫婦のパワーバランスとして両方つよつよでないとこうはなってないというか、そういうものを感じてしまうところはある
ほっといたらアメリカ全土を徒歩制覇しちゃうような人にずっと一緒にいてもらうには暴力と権力でおさえつけるしかなかったというか……
夫がメンタルもエマくらい強い人であれば他のやり方もできたのだろうけど、メンタルはよわよわっぽかったしなあ
夫に殴られまくったから熊が平気だったのか、本来熊が平気な人だから結婚生活を続けられたのか
熊が出る山を歩くのを楽しむような妻に家にいてもらうには、自身が熊になるしかなかったというか……
これはほんとにわたしの偏見だし、もちろん夫がダメだし、こんな人わたしの周囲にはいないでほしいし、いてもらっちゃ困るんだけど、
愛の形がそれでしか維持できなかったってのは悲しい話だよな
まあこの夫ふつうにその辺の人と喧嘩の末に銃持ち出して殺しちゃって友達が弁護士とか役人だったから無罪になってるような人だからかなりサイコパス寄りな人なんだけど……
でもエマも殴られっぱなしではなかったし、もっと退屈な夫と結婚してたらもっと早く結婚生活が破綻してたような気がするのはなんでなんだろうな……