しろくま "沖繩ノート" 2026年3月1日

沖繩ノート
沖繩ノート
大江健三郎
高名な作家による「沖縄を核として、日本人としての自己検証をめざすノート」(204頁)。書かれた時期が1969年1月から70年4月まで。いわゆる日本復帰前の沖縄を「本土」の知識人が繰り返し訪れ、思考したことを綴ったノートだと言えるだろう。 大江健三郎独特の、主述関係の把握が困難に思えるほど長い一文の頻出もさることながら、「本土」の「日本人」であることの罪責感が全編に満ちている。「本土」の「日本人」が沖縄について考える際の、足場を形成する(あるいは、修正する)本と言うべきなのだろう。このノートは以下のように終えられている。 「日本人とはなにか、このような日本人ではないところの日本人へと自分をかえることはできないか、という暗い内省の渦巻きは、新しくまた僕をより深い奥底へとまきこみはじめる。そのような日々を生きつつ、しかも憲法第二二条にいうところの国籍離脱の自由を僕が知りながらも、なおかつ日本人たりつづける以上、どのようにして自分の内部の沖縄ノートに、完結の手だてがあろう?」(228頁)
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