猫の下僕
@SoRa
- 2025年10月26日
わたしを離さないでカズオ・イシグロ,土屋政雄読み終わった十数年ぶりに再読した。初めて読んだときは、隠されたモヤモヤを解き明かしたくてページをめくり、最後に訪れた衝撃と圧倒的な世界観に心を奪われた。 今回は懐かしさに誘われ、じっくり時間をかけて読み返してみた。以前は、キャシーの友人であるルースが周囲を試すような仕草や和を乱すような行動をするたびに嫌悪感を抱いていた。しかし今読むと、その姿がむしろ愛おしく感じられることに驚いた。 考えてみると、ルースは本当は誰よりも早く真実に気づいていたのかもしれない。けれど素直に抗うことはせず、自分や他人を傷つけてしまうような衝動や、破壊的で不器用な行動を通して、小さな反抗をしていた――そう考えると、その複雑さや切なさが胸に深く響いた。
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